ここでの項目である「地面への力の伝え方」は初心者の方向きではありません。
よく「ゆっくりは走れるようになったんですけど、スピードが出せないんです。」というご意見を頂きます。駅伝のように比較的短い距離のスピードアップや、ある程度走力がついてきて、今度は記録を狙いたい。そんな方のためにご用意した項目です。
まずは理論から
ランニングにおけるスピードとはどんな力が必要なのでしょうか?
正解は… ピッチ×ストライド=スピード です。
つまり、脚の回転スピードと歩幅が必要です。
ピッチを上げるのは比較的わかりやすいと思うのですが、ピッチだけあげると非常に疲れます。あるデータでもピッチをあげればあげる程、心拍数が上昇するとでています。また、ピッチの速さは初心者も上級者もそれほど大きな差はでないそうです。
では、どうしたらいいか?
正解は… 無理のない範囲(オーバーストライドにならない)でストライドを広げる
たとえば、フルマラソンを走る際に普通の方で約3万歩、つまり3万回脚を入れ替えて走るそうです。もし、その3万歩の歩幅が10cmでも広がったら?
30000×10cm=3km
3km分も距離が短くなる計算ですよ!
km/6分で行くなら18分もタイムが縮まります!
まあ、そんなに単純にはいきませんが、ストライドが伸びれば、必ずタイムは縮まります。
こういう話をすると「なるほど、よし。簡単じゃないか、歩幅を広げよう」ってやっちゃうんですけど、違います(泣)。
単純に歩幅を広げようとすると、うまくいきません。腰を痛めたり、余計疲れちゃいます。
ポイントは①正しい姿勢をとる
②地面へ強く力を伝える・地面からの反発を利用する
この2つを意識すると勝手に歩幅は広がります♪
姿勢はもうやりましたね。
ということで、【地面への力の伝え方】実践編です。
まずは、テニスボールと空気の抜けたボールの実験を見て、イメージをつけてください。
最初はテニスボールです。
適度な硬さがあり、その硬さと中の空気圧によって、反発が生まれやすいのでよく弾みます。
次は空気が抜けたゴムボールです。反発に必要な空気圧も少なく、地面についた瞬間にぐにゃってなってしまうので、まったく弾みません。
なんとなくイメージがついてきましたか?
このボールの実験を人間に置き換えたものが、次の映像です。
このジャンプは【ポゴ】というジャンプトレーニングです。
ボールの実験と順番が逆になってしまいましたが、最初が「空気が抜けたゴムボール」のようなジャンプ。その後が「空気圧のしっかりしたテニスボール」のようなジャンプです。
「空気が抜けたゴムボール」ジャンプはスクワットジャンプを繰り返し行っている状態なのと、着地の瞬間にぐにゃってなっていて、とても疲れます。
「空気圧のしっかりしたテニスボール」のようなジャンプは作用・反作用の法則を利用して、地面からの反発をそのまま推進力に利用しているので、少ない力で連続ジャンプをすることができます。
音に注目してみましょう!うまく地面から反発をもらうことができた時は「パン!パン!パン!」と乾いた破裂音がします。
大会などで、速い方の足音を聞いたことがありますか?
同じような破裂音がしているはずです。
近藤は、ランニングを始めた当初、速い方の足音にびっくりしてました。
この反発をもらうコツです。
①ウエスト周りを締めて、腹圧を高める(ボールの空気圧と同じことを身体で作り出します)
②股関節をしっかり伸ばした時にお尻を中心とした股関節まわりの筋肉がタイミングよく反応すること
この2点を意識して以下のようなトレーニングをすると地面に力を伝えて、反発をもらう感覚を養うことができます!
さあ、次からは練習方法です!
このトレーニング【ウォールドリル】といいます。
壁を使って、ランニング中の身体の角度を作ります。
腹圧を高め、地面に力を伝える瞬間にお尻の力をしっかり使います!
慣れてきたら脚の入れ替えを速くしたり、連続で行ってみます。
これは【ドライブマーチング】というトレーニングです。
最初の【ウォールドリル】をランニングに徐々に近付けていきます。
ウォールドリルの時に養った「腹圧を高め、タイミングよくお尻を中心とした股関節周りの筋肉を使う」感覚を着地の瞬間に行う練習です。
このトレーニングは強度が高いので、慣れていない方はちゃんとわかる方に聞いてから行うか、ストライドを少しずつ大きくするようにしてくださいね。
【ポゴ⇒交互バウンディング】です。
このトレーニングを繰り返し行っていくと、地面からの反発をもらう感覚をつかむことができ、ストライドも広がっていきます!
頑張りすぎないで練習してみてください!
・姿勢
・体重移動