人間に限らず、物質がある地点へ「移動」する際は、必ず「重心」の移動が伴います。
人間には、二つの重心点があり、その重心点を意識することにより、効率的に前に進むことができるのです。
例えば、その場足踏みをしてみましょう。そう!腕もしっかり大きく振って!脚も高く上げて!まだまだ!・・・。そろそろ疲れてきました?
ここで質問です。
一生懸命に腕や脚を動かしてもらいましたが、進みました?
そうなんですよ。いくら一生懸命腕や脚を動かしても、「移動」は起こりません。
どうすればいいか。簡単です。
前に倒れてみてください。
倒れそうになって、脚が前に出てきたはずです。これが「移動」です。
また、ランニングの「移動」には左右の重心移動も非常に重要になってきます。
体重移動を極めて、気持ちよくスピードに乗る感覚をつかんでくださいね♪
<正しい姿勢での重心点>
人間の重心点は
①みぞおちのあたり
②おへそのちょっと下あたり(丹田)
にあります。この二つがたてに一直線の状態がベストです。
重心点を意識する時には、写真にあるように「球」をイメージします。
<悪い姿勢での重心点>
二つの重心点は一直線にならんでいますが、二つの重心点が近づいてしまっています。
この状態では、空気の抜けたボールのようにしっかりと弾んでくれません。
二つの重心点を上の写真のように、距離を離しておくように意識すると、空気がしっかり入ったボールのように、ポンポン弾んで行くことができるのです。
<正しい姿勢での重心点>
側面から見たときに、二つの重心点の位置を「スーッと」上に上げてみてください。
少しずつ上の重心点が前に移動して、下の重心点を追い越した瞬間、前に身体が倒れそうになるのを感じると思います。
まさにその位置!それが、走っている時の理想的な重心点の位置です。
<悪い姿勢での重心点>
上の重心点が下の重心点を追い越していません。
これでは、身体が前に進まないのは容易に想像できると思います。
その場足踏みのように、いくら頑張っても前に進みません。残念。
<正しい踏み込み時の重心位置>
脚を一歩踏み出した時(片脚に体重が乗った時)でも、重心点の位置関係を保てていることが理想的です。
<悪い踏み込み時の重心位置①>
上の重心点が下の重心点から見て、踏み込み脚側(右側)に倒れこんでいます。
重心が軸足側に倒れていますので、次の脚を出すために、非常に大きな力を必要としてしまいます。スムーズな骨盤の回転が出てこない可能性があります。
<悪い踏み込み時での重心位置②>
上の重心点が下の重心点からみて、踏みこみ脚と反対側(左側)に倒れています。
この状態は、軸足に体重が乗らず、前に進むための筋力を発揮しづらくなってしまいます。
今回紹介した中で、特に大事なのは<踏み込み時の重心位置>です。
なぜなら、踏み込み時の側方への重心の流れは、蛇行して進む車のように、非効率で、非常に疲れるからです。
また、疲れるだけでなく、この踏み込み時の重心位置の崩れによって障害に結びつくことが非常に多いからです。
踏み込み時に重心位置が軸足側に倒れる方は
腸脛靭帯炎、膝の外側の痛み、坐骨神経痛、脛の痛み、ハイアーチ
などが起こりやすいかもしれません。
踏み込み時に重心位置が軸足と反対側に倒れる方は
中殿筋の疲労、腰痛、膝の内側の痛み、偏平足、足底筋膜炎
などが起こりやすいかもしれません。
この踏み込み時の重心を安定させるためには
①軸足を安定させるトレーニング・体幹を安定させるトレーニング
②身体をバランスよくタイミングよく使い、安定させるドリル練習
が必要です。
安全に、安心してランニングを続けて欲しい。そう切に願っています。
障害や怪我だけはしないで欲しい。そう切に祈っています。
「走れば走る程、笑顔になる」をランニングを愛するすべての方へ!